高齢入居者さんの受け入れ
2025年04月26日
高齢入居者の増加
ここ数年、高齢者の方からお部屋探しのご相談を頂く機会が増えてきています。
以前は65歳を過ぎて年金生活になった単身の高齢者は入居が出来ないケースもありましたが、
高齢者向けの様々なサービスが増えてきている現在では、
こういったサービスを活用することにより、
先日は80代の方も保証会社の入居審査を通過し、現在ご入居頂いております。
地方に住む一人暮らしの親を呼び寄せて、
息子・娘の家の近くに住まわせる近居ニーズも増えています。
それでも高齢者へ部屋を貸すことに前向きなオーナーさんはまだまだ少ないのが現状です。

高齢入居者のメリットとは
高齢の入居者さんを受け入れるメリットもあります。
例えば、入居期間が長く、公的年金や民間保険で一定の収入が確保されており、
安定経営につながる人も多くみられます。
若い層は2階以上のお部屋を好む傾向がありますが、
足腰が悪く階段の上り下りが大変だという理由で敬遠されがちな1階を好む傾向も。
最近は元気な70代も増えており、年齢だけで一概に決めつけられません。
将来、生活保護を受ける可能性を考慮して、
地域で定められている住宅扶助の上限額ぐらいまでの賃料のお部屋なら需要はあります。
高齢入居者のデメリットと対処方法
メリットがあれば、やはりデメリットもありますが、
行政や業界の支援策も整備され始め、具体的な対処方法もみえてきました。
リスク① 入居中の家賃滞納
連帯保証人が必須のケースは減り、保証会社を利用して審査が通ればOKというのが主流になってきています。
保証会社も、一律に年齢制限だけで門前払いはせず、年金など収入の有無で審査します。
緊急連絡先は、身内か近親者だけでなく、友人・知人でも審査を受け付けてくれるケースも増えています。
★対策★ 家賃保証は必須
高齢入居者の審査に柔軟な保証会社も増えています。
住宅セーフティネット法に基づく居住支援法人に登録された事業者に相談するのも手です。
近くに身寄りがいない入居者は、「緊急連絡先代行サービス」を利用してもらう方法もあります。
リスク② 入居中の「認知症」
意思疎通・判断能力を失うと解約など法的手続きができなくなります。
高齢者に関わる困りごとは、自治体が福祉・医療の対応を総合的に扱っている
地域包括支援センターに相談しましょう。
★対策★ 速やかに行政へ
認知症が進んでからでは遅いです。
普段から地域包括支援センターや行政の担当課とつながりを持って、
少し様子がおかしいと感じたらすぐに連絡しましょう。
リスク③ 死亡後の解約・残置物の処理
入居者が亡くなると借家権と残置物は相続されるため、勝手に処分することはできません。
さらに相続人の特定ができない場合には探索する時間も掛かってしまいます。
時間も費用もかかるのが、大きなネックとなっています。
この課題解消のために、国土交通省と法務省が2021年に『残置物処理等に関するモデル契約条項』を発表しました。
賃貸借契約に上乗せする形で、死後事務委託契約を結べるようにした注目すべき仕組みです。
現在、より使い勝手が良いものに改定する検討がなされ始めました。
対策|死後事務を契約時にクリアに
「残置物処理に関わるモデル契約条項」に基づいて、
賃貸借契約に併せて死後事務委任契約を結んでおきましょう。
受任者に対して契約解除の代理権を付与し、
相続人に送付する残置物のリスト化などを取り決めます。
リスク④ 孤独死
以前は事故物件の範囲や告知期間が曖昧でしたが、
2021年に国土交通省が『死の告知に関するガイドライン』を公表。
原則的に告知対象は自殺・他殺で自然死・不慮の事故は不要。
ただし、発見まで時間がかかり特殊清掃を実施した場合は告知対象になると示しました。
これを機に『早く見つければ事故物件にならない』というモチベーションが高まって、
各種見守りサービスの利用が増えてきました。
告知期間は3年という目安が初めて出たのも画期的です。
対策|早期発見につとめる
特殊清掃が必要でない自然死・不慮の事故は原則として告知不要のため早期発見が重要に。
監視カメラのような“見張られ感”のない「見守りサービス」を活用しよう。
万一、発生した場合にかかる費用は孤独死保険・少額短期保険でカバーして対応しましょう。